
実家近くにあるお気に入りのラーメン屋。私の小学校2年の6月の日記に「家の近くに新しいラーメン屋さんができたので家族で行って来ました」とあるので、実に40年近く通っている店になる。豚骨をギュッと圧縮したかのような獣臭が濃厚なスープは好き嫌いがはっきりと分かれる。私のように気に入った者は病み付きになる一方で、受け付けない者は二度と食べたくないとなるらしい。マサさんの
東村山グルメ日記では「人を選ぶラーメン」と紹介されている。なるほどうまい表現だ。しかし、40年も食べ続けているとこの味が基準となり、どうにも他のラーメンが物足りなくなってしまう。私にとってはこれが日常の味だ。
10年前に先代のオヤジさんが亡くなり、現在は娘さんが後を継いでいる。再開した当時はどうなることかと心配もしたが、暖簾の灯を消さずに継いでくれたことがひたすら嬉しかった。その後、それこそ大変な努力をされたのだろう、10年経って現在では先代と肩を並べる味が出せるようになった。と同時にそろそろ自分の色を出し始めてもいい時期だろうと判断され、昨夏には季節メニューとして冷やし中華も登場。先代が全て断っていた
マスコミの取材も自分へのご褒美として初めて受けた。

ラーメンだけでなく餃子も名物。手作りの皮は適度な厚みがあり、プリプリとした食感が食欲をそそる。隠し味に蜂蜜が入った野菜中心の具も絶妙な味わいで、餃子だけで満足感が味わえる逸品だ。常連さんの中にはここの餃子しか食べないという人も居るようだ。

これが40年近く食べ続けてきた私の定番、醤油ラーメン固麺。この日は残念ながらスープがちょっと濁っていた。並盛の麺は少なめで、飲んだ後に丁度よい量だ。先代は旭川の
蜂屋で修行したという。蜂屋で食べて来た知り合いの話では確かに同じルーツが感じられたという。通常、旭川ラーメンにはもやしは載らないが、ここでは無漂白のシャキシャキとしたもやしが載っており旨い。メンマも美味で手抜きが無い。よくおみやげに包んでもらいビールのつまみにしたものだった。やや太めの自家製麺は固茹でがお勧め。濃厚なスープに負けないしっかりとした麺である。醤油固麺しか食べない私を見て、先代は「醤油の香りが好きなんだね。私もそうだよ」と言っていたのが懐かしい。
40年近くも食べ続けていられる定番の味があるというのは実に幸せなことだ。10年経た娘さんの自分の色も楽しみに、そして暖かく見守って行きたいと思う。多分、常連さん達の思いは一緒だろう。蜂屋は
新横浜ラーメン博物館に出店しており、創業当時の
復刻ラーメンを出しているというので、この店の味のルーツを、是非とも確かめて来ようと思っている。
最寄駅:西武新宿線久米川駅、西武多摩湖線八坂駅
営業時間:18:00-23:00
火曜日は11:30-14:30の昼間のみ営業
定休日:水曜日
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